西前農園とは?

奈良県は桜井市と天理市にまたがって、農薬を使わずに野菜・果物を生産しております、西前農園と申します。
西前農園では年間60品目以上の野菜・果物をいわゆる少量多品目で栽培しています。

西前農園の特徴は、無農薬は当たり前として、端的に言えば以下の通りです。

「自分の子どもに継続して食べさせたいものを、持続可能な方法で作る」

自分自身や自分の子どもに継続して食べさせたい、そして実際に食べている野菜をお届けします。
一部の農家の方には、出荷用と自家消費用の野菜を分けて作り方を変えるという方がおられます。
例えば出荷用には農薬を使うけれども自家消費用には使わないといった具合です。

うちはもちろん無農薬ですし、そして出荷用と同じものを我々家族も日々食べています。
だからこそ、その安全性・食味・持続可能性の3つの点について自分なりにとことん研究しています。
この研究に終わりはなく、死ぬまであるいは自分が死んでも末代に至るまでとことん研究し続けるべきものだと思っています。

この研究の結果として以下のいくつかの特徴が生まれました。

西前農園の6つの特徴
①少肥料

基本無肥料である自然農は目指すところではありますが、今のところ果樹や豆などの一部の品目だけが自然農であり、その他は有機肥料を使います。ただし堆肥や有機肥料を多投してとにかく早く大きくするたぐいの有機農法ではありません。使用する有機肥料の量も極力少なくすることで食味を損なわないようにすると同時に(余剰に肥料分を蓄積した野菜は実体験として不味かった)、余剰の肥料分によって土の栄養バランスが崩れたり有害な硝酸態窒素が残留したりすることを防いでいます。
②美味しい

上記の通り食味には当然強いこだわりがあります。
たとえ無農薬であろうと不味いものなど誰も好んで食べたいわけがない。
美味しさと安全性がともに高い水準に達してこそ本当に必要とされるものだと思います。

また基本的に発送日当日(冬場は朝凍結するので発送日前日の場合あり)に収穫しますので、鮮度の良い美味しい野菜をお届けすることができます。
③肥料内容へのこだわり

できるだけ来歴のはっきりした安全な有機肥料を使うようにしています。例えば窒素供給源としてマメ科の緑肥を中心にすることで当地の空気中の窒素をできるだけ生かすことを心がけています。また、市販の家畜糞堆肥は使いません。これらは輸入物の遺伝子組み換え作物が中心の排泄物であることが多く、その残留農薬が実際に問題となっています。
鶏糞はうちで飼っている鶏由来のもののみ使用しますが、当農園の飼料は大部分が奈良県産の近隣農家の米であり、同じく近隣産出のもみがらなどと混ぜて発酵・熟成させてから肥料として使っておりますので市販の鶏糞とは違って悪臭を放つこともありませんし、何で出来ているのかはっきりしています。

来歴のはっきりした近隣の資材を中心に用いることは放射能汚染のリスク低減を図ることにもなると考えています。
④そしてもちろん、無農薬

マシン油などを許可する有機JASなどとは違い、農薬のたぐいは一切使用していません。ただし種の購入時点で既に付けられていた農薬は除きます。種に付着しているわずかな農薬までこだわる意味はあまりないと考えますし、後述の通り当農園では自家採種も重視しておりますので無農薬の種も多いです。
⑤食料生産の主権を守る

現在種の市場では企業が所有する交配種(F1)が圧倒的シェアを占め、自家採取可能な伝統的品種は姿を消しつつあります。当農園はできる限りこの伝統的な固定種にこだわっていきたいと考えています。
これには昔の味の良い品種を再評価するという意味もありますが、グローバル企業やそれに事実上所有されている政府の支配に抗って自立の道を模索するという意味もあります。
近年の種子法廃止や種苗法改正等に代表されるようにグローバル企業やその株主たちによる支配がますます強まっており、少しでもこの流れに抗っていかないと私たちやその子孫はますます奴隷化が強められる(=主権を失う)ことになってしまいます。

種の他に上記の通り肥料もできる限り自家生産物や地域資源を利用することによって、権力による支配からできる限り独立して生産していきたいと考えています。
⑥先の世代から奪わない

分かりやすい例として放射性廃棄物や有機フッ素化合物などのように環境中で長期間に渡って毒性を発揮する物質がありますが、今私たちは日々の生産活動の中で多種多様に環境を破壊し、毒物を垂れ流し続けています。これらの毒物が確実に未来の世代を苦しめる負の遺産となることは歴史を見れば明らかですが、その元凶は「今だけ、金だけ、自分だけ」という言葉に表される通りの、我々大人達の考えやとってきた行動そのものです。今の我々大人世代はこれらの物質や技術によってより便利で、より楽で、より考えなくてよいという「恩恵」を享受できるのかもしれませんが、それは未来の世代を犠牲にして彼ら・彼女らから奪ったものであるということを我々はもっと真剣に考えねばなりません。

こういった観点からも当農園は無農薬を選んでいるのです。私たちが受け取った空気や水や農地をできるだけ余計な毒物を増やすことなく次世代へ渡していくために。
「我々は、7代先の子供たちのために、今何をしなければならないか考えて行動する」というネイティブアメリカンの教えがあるそうですが、これこそ今の私たちに不可欠な教えだと思います。

もちろん「じゃああんたはどこまで実践できてんねん?」と言われれば、なかなかに現実は妥協の産物だと言わざるを得ません。生業としてやっている以上、マルチや防虫ネットなどのプラスチック資材に頼ることも実際あります。
しかし完璧を目指すのではなく常に現段階でのベターをできるだけ広く情報を集めた上で自分の頭で考えて選択し、実践する。このプロセスを死ぬまで続けるというのが自分なりの答えです。

長くなってしまいましたがこんなことを考えながら日々取り組んでいる農園です。
上記の内容に共感して当農園の野菜を選んでくださる方がいらっしゃれば嬉しいです。
是非繋がり、一緒に未来を創っていきましょう。